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あなたが あなたであること(学校だより わかば2月号より)

 校長室の本棚に「たいせつなこと」という絵本を置いています。この絵本は、私が先生になったことを知った友人が、「子どもたちに読んであげて…、自分に読んであげて…。」と、プレゼントしてくれたもので、機会あるごとにページをめくっています。

 

 お話は、次のような文章で始まります。

 『スプーンは、食べる時に使うもの。手で握れて、

  口の中にあうんとおさまり、平らじゃなく、

  くぼんでいて、小さなシャベルみたいに、

  いろいろなものをすくいとる。

  でも、スプーンにとってたいせつなのは、

  それを使うと、上手に食べられるということ。』

 

 その後も、身の回りの物それぞれの「たいせつなこと」が書かれ、お話は進んでいきます。

 『雨にとってたいせつなのは、

  みずみずしくうるおすということ。』

 『草にとってたいせつなのは、

  輝く緑であること。』

 『靴にとってたいせつなのは、

  足をつつんでくれるということ。』など… 。

 

 そして、最後のページでは次のように結ばれています。

 『あなたは、あなた。

  赤ちゃんだったあなたは体と心をふくらませました。

  そして、さらに、あらゆることを味わって、

  大人になるのでしょう。

  でも、あなたにとってたいせつなのは、

  あなたが あなたであること。』

 

 人はみんな、得意なことも、好きなことも、顔も違っていますが、それぞれに「よさ」があります。「よさ」とは、自分の持ち味、長所です。それは、かけがえのないもの、「たいせつなこと」です。人と比べるものではありません。違っていて当たり前、「あなたがあなたであること」がすばらしいのです。

 私たちの大事な役割は、子どもたちの「よさ」を伸ばすことです。みんなが、それぞれ自分の「よさ」に気付き、それを磨く人になってほしいと思います。そして、自分のことをどんどん好きになって、自分を大切にしてほしいと願っています。このことが、これからの将来を過ごす大きな力になるからです。

 一年間のしめくくりであるとともに、新年度4月の準備でもある3学期、このような思いを大切にして、子どもたちに寄り添い、支えていきたいと思います。

 学校長 多田 俊朗

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