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「ウサギとカメ」が教えてくれたこと(学校だより わかば2月号より)

 童話「ウサギとカメ」、皆さんはよくご存じかと思います。ウサギとカメが、かけっこで競走し、どちらが早く山のふもとに到着するのかを競うお話です。このお話は日本の昔話だと思っていたのですが、実はイソップ物語の一つで、海外からやってきたお話だそうです。一般に知られるようになったのは、明治時代に国語の教科書に掲載されてからです。その時のタイトルは「ウサギとカメ」ではなく「油断大敵」でした。まさに、「己を過信して怠れば失敗する。」「あきらめずに努力を続けると報われる」という教訓を知ることができます。

 

 ところが、この物語にはもう一つの教訓が隠されています。

 ウサギとカメは、それぞれ見ているものが違います。

 ウサギはカメだけを見ていました。だから、歩みが遅く、なかなかやって来ないカメに油断してしまったのです。

 対するカメは、ずっとゴールを見ていたのです。もし、カメが寝ているウサギを見ていたら、自分も休んでいたかもしれません。ところが、そうしなかったのはゴールを見ていたからです。カメはゴールを見ていたから、歩みは遅いけれど足の速いウサギに勝てたのです。

 「見ているものが違った」からこの結果が生まれたのです。つまり、ウサギにとっての勝負は、カメに勝つことだけだったのです。しかし、カメにとっての勝負は、ゴールにたどり着くことだったのです。何を目標にするかで結果は変わるということなのです。そう、この物語には「目標をしっかりと明確にすることが大事」という、もう一つの教訓が隠されていたのです。

 

 「見ているものは正しいか」「ゴールを見ずに周囲ばかりを見ていないか」気を付けたいものです。目標がぶれていたり、間違っていたりすると、ウサギのようになってしまいます。学校でも学年のまとめに向けて、何をするのか目標を明確にして教育活動を行ってまいります。

 

学校長 多田 俊朗

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