まなざしをキャッチ そして、まなざしを向ける (桃子野だより5月号より)
新学期が始まって3週間、校庭に目をやると、木々の緑も日増しに鮮やかになり、子どもたちの元気な声が響き渡り、学校は活気に満ちあふれています。
そんな子どもたちの授業の様子を見て回るのが私の楽しみです。ある日、高学年の授業を見ていて、自分が5年生の頃の出来事と重なりました。それは、算数科の時間、個々に課題に取り組んでいる時のことでした。ふと顔を上げると、担任の先生と目が合ったのです。なぜ自分のことを見ておられたのだろうかとモヤモヤしました。でも、その後、先生がニコっと微笑んでくださったことでスッと心が晴れたのを覚えています。今から思えば、顔を上げた動きに反応して視線を向けられただけだったのかもしれません。しかし、先生が自分のことを見てくださっているという安心感が、子ども心にとてもうれしく感じられたのは事実です。
教師のまなざしは重要な意味をもっています。まなざしを向けるだけで、励ますこともできれば、注意を喚起することもできます。さらには、子どもたちとまなざしがつながれば、共感することもできます。子どもたちは、いつでも、何でも言葉で表現できるとは限りません。時には、目で、表情で訴えることもあります。「分からない、どうしよう」「助けてほしい」とまなざしを宙に向けている子もいます。そんな子どもたちの心に寄り添うためにも、「子どものまなざしをキャッチするアンテナ」、そして「子どもに向ける温かいまなざし」を大切にしたいと思います。
学校長 多田 俊朗
2025年5月1日