卒業式予行の式辞から(誰かのために)
卒業式が近づくと、皆さんに聞いてほしい話があります。
「私たちの道徳」(文科省発行)に掲載されている医師の鎌田實さんのコラムです。
余命3か月と診断されたがん患者のお母さんが、高2・高3の子どもの卒業式を見てあげたいと1年8か月も生きたという話です。外出許可をもらって帰宅したお母さんは、子どもたちにお弁当を作ってあげたそうです。最後に家に帰ったときは、立つこともできない状態だったのに、家で台所に立ちお弁当を作ったそうです。娘さんが後日、鎌田さんに話しました。
「お母さんが最後に作ってくれたお弁当はおむすびでした。そのおむすびを持って学校に行きました。久しぶりのお弁当が嬉しくて、嬉しくて。昼の時間になって、お弁当を広げて食べようと思ったら、切なくて、切なくて、なかなか手に取ることができませんでした」と。
鎌田さんは言います。
「お母さんの人生は四十年ちょっと、とても短い命でした。でも、命は長さじゃないんですね。お母さんはお母さんなりに精いっぱい、必死に生きて、大切なことを子供たちにちゃんとバトンタッチした。人間は『誰かのために』と思った時に、希望が生まれてくるし、その希望を持つことによって免疫力が高まり、生きる力が湧いてくるのではないかと思います。」と。
卒業式は、卒業生だけではなく、保護者にとっても大切な儀式なのです。3月17日は、厳粛で感動的な卒業式を行いたいと思います。
(3月15日卒業式予行の式辞から)
未分類 2021年3月15日