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『ゆずり葉』の心(学校だより わかば2月号より)

 梅の花が咲く頃となりました。一年のうちで寒さが最も厳しい時節ですが、校庭の木々に目をやると、硬く小さいながらも来るべき春に備えて新芽が成長し、季節は着実に春に向かっています。

 

 毎年この時期になると『ゆずり葉』を思い出します。

 『ゆずり葉』とは、常緑高木の仲間で、寒い時期でも葉は緑色が濃くて厚みがあり、温かささえ感じられる木で、その姿が印象的だったからです。また、詩人の河井酔茗が書いた『ゆずり葉』という詩があり、国語の教科書に掲載されていたからです。

 

 『ゆずり葉』の葉は、冬の間も寒さに耐えて枝に付いているのですが、春になると「次は頼んだよ」と、新しい葉に託して落ちてしまいます。その落ちた葉の後には、若い芽がしっかりと育っているのです。落ちた古い葉は、冬の寒さから若い芽を守っていたのです。このように、自分の役割を次の葉に譲っていくことから、『譲る葉』が転じて『ゆずり葉』と呼ばれるようになったそうです。

 

 本校にも、この『ゆずり葉の心』があります。『上級生から下級生へ』『先生から子どもたちへ』、そして『親から子へ』と、温かく見守りながら、大切なものが手渡されていきます。一年間のしめくくりであるとともに、新年度4月の準備でもある3学期、『ゆずり葉の心』を大事にして、ご家族の皆様と共に子どもたちを支えていきたいと思います。

学校長  多田 俊朗

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