読書のすすめ25 「私を月に連れてって」(鈴木るりか 著)

読書のすすめ25 「私を月に連れてって」(鈴木るりか 著)

 「さよなら田中さん」(2017年・中2)・「太陽はひとりぼっち」(2019年・高1)に続く田中花実(はなみ)親子の生き様を描いた続編が、「私を月に連れてって」(2020年・高2)です。作者の鈴木るりかさんは現在高校2年生で、コロナ禍の臨時休業中にこの作品を書いています。

 中学2年生になった田中花実と友人で家に居場所のない佐知子、学力だけが評価される塾で輝く同級生の石井くん、無戸籍で家を出たことのないのんちゃん、そして2階の住人で不登校・ニートの賢人ら登場人物が、生きづらい中を常に前向きに必死に生きようとする姿が描かれています。

 高校なんか行きたくないと豪語していた佐知子が、高校へ行くと言います。

 「私ね、今回ののんちゃんの件で、改めてつくづく、自分の無知さ、モノの知らなさを自覚したんだよね。私は知らないことが多すぎる。この世に戸籍のない子がいるなんてこと、微塵も浮かばなかったもんね・・・・・私にはまだ学ばなくっちゃならないことがたくさんある、って。」

 また、「太陽はひとりぼっち」の祖母との確執に続き、花実の母真千子の壮絶な過去の一端も明らかになります。デビュー作から続く登場人物たちのその後や現在が、より広がりや深みを増して描かれ、作者の成長と重なり合います。

 まちがいなく読書することが好きになり、生きることが楽しくなる本です。

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