全校朝集の話から㉒(ニューギニアの子どもの話)

全校朝集の話から㉒(ニューギニアの子どもの話)

 今日は「ニューギニアの子どもの話」をします。ニューギニアはオーストラリアの北にあって、日本の面積の2倍以上もある、世界で2番目に大きな島です。島の東半分がパプアニューギニアで、西半分がインドネシアに属しています。

 第2次世界大戦でニューギニア島に配置された日本兵の体験談です。

 「私は、日中戦争が始まるとともに、軍隊に入りました。最初は朝鮮・満州を転々と歩きました。当時の兵隊は食糧がとても不足していました。それを補うために、現地の子どもに、その土地の産物を取って来るように命じたのです。朝鮮や満州の子どもたちに日本の兵隊が『マクワウリを取ってこい』というと、いとも気安く現地の人の畑へ行って、頼みもしないものまで盗んで来てくれたものでした。

 ところが、戦争の途中、私は満州からニューギニアに転戦を命じられました。ニューギニアも食糧不足で、日本軍は大変苦しい生活をしました。そこで、ニューギニアの子どもに、『バナナやパパイアを取ってこい』と命じました。ところが、どの子どもも『かんべんしてくれ』というのです。いくら大声で怒鳴ったり、脅かしたりしても、『かんべんしてくれ』『かんべんしてくれ』と言うばかりです。気の短い兵隊が、鉄砲の台尻で子どもの尻をぶん殴っても、ヒイヒイ泣きながら、手を合わせて『かんべんしてくれ』と哀願するばかりです。

 そこで、『なぜお前たちは、俺たちの言うことを聞くことができないのか』と言うと、どの子どもも同じように空を指さして、『おてんとうさまが見ているからできないんだ』と言うのです。私は、その姿に深く心を打たれました。私はそれまでは、ニューギニアの人々を文化の遅れた未開人として、馬鹿にした気持ちを強く持っていました。けれども、“人間として、してならないことは、誰に言われてもできないのだ”という、もっとも人間らしい生き方が、親の教えとしてこの子どもたちの体の中に生きているのです。」

 人が見ていなければ・・・、ばれなければ・・・、自分さえ良ければ・・・という考えがある中で、「人間として、してならないことは、誰に言われてもやらない」という人間としてのまっとうな生き方について考えさせられる話です。

 皆さんはどんな感想を持ちますか?   

(12月7日の話から)

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