全校朝集の話から⑫(螺旋の歩み)

全校朝集の話から⑫(螺旋の歩み)

 9月12日、泉中学生が生徒の力を結集して、みんなで体育大会を創り上げました。そして閉会式の「4つの拍手」で、「リーダーではないけれどクラスやブロックに提案や意見や呼びかけをしてくれた人は立ってください」に何人かが立ち上がってくれました。そこには、自分を伸ばし、仲間を伸ばしていこうとする泉中学生の姿がありました。さぁ、今日から普通の学校生活が始まります。体育大会で学んだ「自主」「協同」「創造」を授業や学級や部活動、仲間との関係の中で発揮してください。                              

 私は、学級担任をしていた27年間、一度も名前を変えたことのない学級通信を発行していました。「螺旋(らせん)」と言います。巻き貝や螺旋階段、大仏の螺髪(らほつ)やDNAのようにグルグルと回って上へ上がっていくものです。上から見ればグルグル回っている円に見え、横から見れば右往左往している線に見えます。しかし、わずかであろうと確実にせり上がっているのが、螺旋です。

 人間としての成長は、坂道をスーッと登っていくようなものではありません。堂々巡りをし、時には逆戻りしているようにも見えますが、事実はしかし、緩やかであろうと確実にせり上がっている、螺旋の歩みです。自分を変えるためのほんの少しの努力、昨日より今日、今日より明日の1%の改善、この螺旋の歩みが大きな変化につながっていきます。

 テニスの全米オープンで優勝した大坂選手は、コロナ禍で試合ができない間、地道な体幹トレーニングを一所懸命続けていたそうです。ベネチア国際映画祭で監督賞を受賞した黒沢監督は、もう一歩チャレンジするための受賞だというコメントを残しています。

 常に上に、常に前へと、自分を伸ばすための、螺旋の歩みを進めてください。

(9月15日の話から)

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