全校朝集の話から⑤(風の谷のナウシカ考)
今、スタジオジブリの映画が劇場公開されています。
コロナ禍の影響で遠のいた観客を呼び戻すために、観客が見たい映画を上映しているそうです。
先日、「風の谷のナウシカ」を観ました。正確にはジブリになる前の作品ですが、原作・脚本・監督は宮崎駿さん、プロデューサーは高畑勲さんです。1984年に公開された作品で、テレビでは2年に一度のペースで放映され、高視聴率をあげています。36年前ですから18回はテレビでやっています。私は10回以上見ていると思いますが、劇場の大きなスクリーンで観るのは初めてでした。何回も見ているのに、とても新鮮な気持ちで、感動しながら観ることができました。
最終戦争による文明崩壊後の世界、人々は腐海(ふかい)の森から発せられる有毒な瘴気(しょうき)に悩まされながら生きています。その腐海の森は巨大な蟲(むし)たちによって守られ、ナウシカの住む風の谷は、腐海に住む生き物との共生の道を模索していました。そこに伝説の巨神兵をよみがえらせ、腐海を焼き払おうとする大国の軍隊が現れます。それに対抗する人たちは、王蟲(オーム)の大群を暴走させ、風の谷ともども襲わせようとします。ナウシカは身を挺して、王蟲の群れに飛び込み、それを阻止しようとします。
近未来を描いた血湧き肉躍るストーリーなのに、ナウシカという少女の人間性や行動力、リーダー性に心惹かれ、人はどう生きるべきか、自然とは何か、自然との共生はどうあるべきかなど、ついつい考えさせられてしまいます。そして見終わった後、爽やかで前向きな気持ちと心が豊かになる実感があります。
また、ナウシカと聞くと、なぜか加西市の非核平和都市宣言(1985年)を思い出します。
(7月13日の話から)
【追記】
哲学者の小川仁志さんの本に「ジブリアニメで哲学する」というのがあります。その中の「風の谷のナウシカで哲学する」に、次のような文章があります。
「王蟲のように人間を襲ってくる生き物は、現実に存在します。実は新種のウイルスはそうした自然の抵抗であるということができます。」
「人間はしょせん自然の力にはかなわないのです。自然を怒らせてしまったら、もう誰にも止められません。自然災害というのは、そうした自然の怒りの表れです。」
「思い上がりを捨て、素直に自然の声に耳を傾ける。それが自然と対話するということです。対等な立場で交渉しようなんてとんでもありません。できるだけ自然に迷惑をかけない生活をすることです。」
1984年公開の映画、2017年出版の本なのに、2020年の今を警告しているように思います。
未分類 2020年7月13日